(ライター:hashidate amano)
健康保険証がなくても、病院にかかることは可能です。
「自由診療」というやり方で、治療費の実費を支払うことで、受診することができるからです。
でも、この場合は非常に高額な治療費がかかる可能性があります。
「自由診療」の場合、病院としては健康保険のルールよりも高い治療費を請求することが可能だからです。
保険証を持って行った場合の4倍とか5倍などの費用がかかることもあるのです。
この記事では、健康保険を利用した場合の医療費の仕組みについて、具体的に解説しています。
「保険料が高いし、健康保険には加入したくないな……」と思ったら、一度読んでみてくださいね。
保険証がないと病院には行けない?
・年金博士
前回の年金制度に続いて、今回は健康保険制度の入門編じゃ。公的な健康保険に加入して保険証をもらうのは何のためかを解説しよう。
病院に行くためですよね。年金に比べると健康保険は分かりやすいし、解説も簡単そうですね。
・年金博士
そうじゃ、今回は君が解説してみるかね? そろそろFPの勉強もかなり進んだじゃろうしな。わしがチェックを入れてやろう。
そういうパターンで来ますか……。すみません、簡単と言ったのは無しということで……。
・年金博士
なんじゃ、今回は全部任せて楽しようと思ったのに。 そもそも健康保険に入っていなくても、病院にかかることは可能じゃ。患者を追い返すことはできんからな。 しかし、そんなことをする人はほとんどいない。それがなぜなのか、という辺りからざっくり解説して行こう。
公的な健康保険の種類などについては、第4話で解説していますので、そちらをご覧ください。
保険証なしで病院に行くと、高額な治療費がかかる
ファイヤ君が言った通り、健康保険と言えば病院などにかかるためのもの、と思うのが普通でしょう。急病でいざ病院に行こうとして、保険証が見当たらなかったら大騒ぎのはずです。
でも、保険証(あるいは保険証利用登録をしてあるマイナンバーカード)がなくても病院にかかることは可能です。ただ、費用がものすごく高くなるだけのことだからです。
では、実際のところどのくらい高くなってしまうのでしょうか。
よく、「3割負担」という言葉を聞くことがあると思いますが、これが何の「3割」なのか、まずここがヒントになります。
病院などでかかる医療費は、治療の内容ごとに金額が決められています。これは、基本的に全国共通です。
「3割負担」というのは、その医療費の3割を負担する、ということを意味しています。
もし、病院の窓口で3,000円を払ったとします。
「今日の治療費は3,000円か、結構高かったな」などと思いながら家に帰ることになるわけですが、実は治療費はもっとかかっています。3,000円というのは、あくまで治療費の3割分の額だからです。
3割で3,000円ということは、トータルに費用では1万円かかっている、というわけです。
(10,000円×0.3=3,000円となる)。
つまり、7割分の7,000円は健康保険の組合などが代わりに払ってくれている、そういうわけなのです。
この3割負担の扱いを受けるには、有効な保険証などを見せないとダメなので、保険証なしで病院に行くと費用が高くなる、という話になるわけです。
※ 「3割負担」は年齢や収入などによって1割や2割負担などに変わることがあります(高齢者と子供の場合)。
・年金博士
通常の3倍を超える医療費がかかるのに、保険証なしで病院に行くというのはどこかの赤い彗星並みのチャレンジャーだと言ってよいじゃろう。 従って、保険証がないと病院に行けない、という話になるわけじゃ。
この前歯医者でちょうど5000円かかりましたけど、保険証がなければちょうど16666.666…円もかかったわけですね
・年金博士
計算早っ! しかし実は、その額でも収まらないと可能性があるのじゃよ。こちらのトラップはもっと恐ろしいぞ。
治療費がさらに高くなる、「自由診療」というトラップ
さて、先ほどの解説の中に、「医療費は、治療の内容ごとに金額が決められている」という内容があったと思います。
しかし、この金額はあくまで、健康保険のルールの中で決まっている額ということになっています。
つまり、そもそも健康保険に入っていない人が受診しに来た場合、病院側にはこのルールを守る義務はありません。
病院側の「言い値」で治療費を決めることも可能、ということになってくるのです。
実際、保険証を持たない人の受診があった場合、病院としては健康保険のルールよりも高い治療費を請求することがあります。
ルールで決まっている額よりも3割増しとか5割増しの金額になるというパターンが多いのですが、中には2倍の金額になる場合もあります。
この場合、先ほどの3,000円の例で言えば、10割分の10,000円×2=20,000円を支払うということになるわけです。
(下記の図を参照)
まあ、かかりつけなどのいつも受診している病院で、たまたま月初めに保険証を忘れたからと言って、このような扱いをすることはまれでしょう。
ありがちなのが、旅行先で保険証なしで緊急受診した場合です。
ちなみにブログの中の人は、キャンプに行ってお腹を壊した際に、1.5倍の金額を支払ったことがあります。
なお、保険証なしで高い金額を払った場合、後から費用を返してもらえる「療養費」という制度もありますが、こちらは第54話で解説しています。
通常の3倍をさらに超えるとは……。連邦の白い悪魔並みというわけですね。
・年金博士
なお、本当は月初めだけではなく、受診の度に保険証(または利用登録済みのマイナンバーカード)を受付に出さないといかんことになっておる(※)。 病院側の判断で、月初め以外は診察券だけでOKとしていることがほとんどじゃが、受診の際には保険証かマイナンバーカードを必ず持って行くようにしよう。
※保険医療機関及び保険医療養担当規則第三条などで規定
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