(ライター:hashidate amano)
老後の国民年金(老齢基礎年金)は何歳になったらもらえるのでしょうか?
答えは、「65歳から受け取るのが基本」ということになります。
実際にはもうちょっと複雑で、受給を早めたり遅らせたりすることもできますが、多くの方は65歳からの受給を選んでいるようです。
では、実際に65歳になるとき、どのような手続きをすれば年金がもらえるのでしょうか。
この記事では、受給までの基本的な流れについて、簡単に解説しています。
65歳になる3か月前には、日本年金機構からの書類が届きますので、まずはそれを見落とさないようにしましょう。
5400日という永遠の時間
・年金博士
あと残り5400日か……。待ち遠しいのう。
5400日って、むちゃくちゃ長いカウントダウンですね。一体、そんな先の何を待ちわびてるんですか?
・年金博士
何をって君、わしは年金博士だぜ? わしが待ちどおしいと言っとるんだから、年金の受給開始以外に考えられんだろうが。
お、おう……。なるほどそうでしたね。 (そういえば、博士ってまだ50歳なんだった)
・年金博士
5400日間も、わしは何をして待ち続ければいいんじゃろうか……。遠い、あまりにも遠い日々じゃ。
いや普通に働いて、年金の額を増やしながら待てばいいんじゃないですか? 保険料払って。 ところで、その5千何百日後って、博士は何歳になるんですか?
・年金博士
65歳に決まっておるだろう、わしが老齢基礎年金が受け取れる年齢になんじゃから。
というか、老後の年金が何歳から受け取れるのか、まだちゃんと説明を聞いてなかったような気もしますけど。 65歳になったら、自動的に支給が始まる感じなんですか?
・年金博士
いや、案内はしてくれるが、自分で申請書を出す必要があるのじゃ。今回は、その辺りについて解説しよう。
老後の国民年金(老齢基礎年金)の受給について
老齢基礎年金は65歳での受給開始が基本
老後の国民年金(老齢基礎年金)は、65歳から受給が始まるのが基本です。
正確に言えば、65歳の誕生日の前日で65歳到達となり、その翌月分からが支給されることになります。
例えば4月1日生まれの人なら、3月31日に65歳に到達し、4月分から支給されるわけです。
支給が開始される、と言っても4月に入れば自動的に振り込まれるというわけではなく、65歳になる3か月前に、日本年金機構から送られてくる「年金請求書」という書類を提出する必要があります。
提出先は年金事務所ですが、国民年金(第1号被保険者)以外に全く加入したことがない場合などは市区町村の役場でも可能です(年金機構への郵送提出も可能です)。
年金請求書を提出して、2~3か月後くらいに振り込み開始
「年金請求書」には住所や氏名など最低限の内容が印字されています。
それ以外の記載事項や必要書類(戸籍謄本・抄本など)は、厚生年金の加入状況や家族の状況によって個別に変わってきます。同封される説明書の解説に従って、記入などを行いましょう。
受付の開始は、65歳の誕生日の前日からです。実際の振込が始まるまでは、そこから2~3か月くらい見ておくと良いでしょう。
年金の支給は通常、偶数月の15日(金融機関が休みなら、その前の日)に2か月分が振り込まれます。年金は後払いなので、例えば4月15日に振り込まれる年金は、2月と3月分です。
ただし、手続きから時間のかかる初回の受け取り時は、奇数月の15日に振り込まれることがあります。この場合は、初回の3か月分がいっぺんにまとめて振り込まれる、ということもあります。
・年金博士
ざっくり言ってしまえば、老後の国民年金は65歳から受給が基本、ということじゃ。だからわしも、5400日待たねばならんというわけじゃ。 あの「宇宙戦艦ヤマト」でさえ、「あと363日」程度からカウントダウンが始まったんじゃから、5000日はあんまりじゃ。
地球滅亡と、博士の老後を同列で比べるのはちょっと……。 まあ、現実のこの世界では、ヤマトみたいにワープして日数短縮、なんてわけにもいかないのがつらいところですよね。あれは空想の話なわけですし。
・年金博士
いや、あるよ。年金の世界にもワープは存在する。年金の受給開始を早める方法というのが、存在するのじゃ。これを「繰り上げ受給」という。
ああ、聞いたことがあります。でも、そんなお得な話には、何か裏がありそうな気もしますね。
・年金博士
裏というか、損得は出てくるのだが、その辺りはなかなか複雑じゃからな。次回に引き続き解説することにしよう。 なお、逆に年金の支給開始を遅らせて額を増やす「繰り下げ受給」というものもあるが、こちらも後日説明する予定じゃ。
老齢厚生年金の受給者が65歳になり、国民年金を受け取る手続き
65歳よりも前に老齢厚生年金を受給している(※)人の場合も、65歳になったときには国民年金(基礎年金)部分の受給手続きをしなければなりません。
とはいえ、こちらの請求手続きは非常に簡素化されています。厚生年金の受給開始時に、すでに年金の請求手続きはほぼ完了しているからです。
請求書が65歳の誕生日前に送付される点は同じで、名前も同じ「年金請求書」ですが、この「請求書」というのは実際にはハガキ一枚分の大きさで、受給者と加給年金対象者(配偶者など)の住所や名前などを書いて投函するだけ、というシンプルなものです。
あまりに簡素なので、年金機構への問い合わせの際に「請求書は出されましたか?」と聞かれても「そんなものは出していない」とうっかり答えてしまうようなこともあるかも知れませんね。
※生年月日によっては、「特別支給」という仕組みで、65歳になる前に老齢厚生年金を受け取ることができる場合があります。この仕組みについても、別途解説する予定です。
年金制度の仕組みが学べる記事
■ 記事一覧へ
■ 第45話 老後の国民年金を早めにもらう方法 ~老齢基礎年金の繰り上げ支給について~へ
コメント