(ライター:hashidate amano)
20歳になると、国(年金機構)から、国民年金の納付書が送られてきます。
直接自分宛てに、お役所からの請求が来るのは初めて、という人も多くて、「え? どうしたらいいの」と焦ってしまうこともあるでしょう。
この記事では、そんな場合にどうしたらいいのかを、ストーリー形式でわかりやすく解説します。
結論から言えば、そんなに心配しなくても簡単な手続きで何とかなります。
ギャグ多めでも内容は真面目です
・年金博士
今回の事例は、20歳になって国民年金の納付書が届いたときにどうしたらいいか、という内容じゃ。女子大生のAさんが主人公じゃよ。
解説なんですから、真面目な内容でお願いしますよ。
・年金博士
しかし、Aさんではちと味気ない。もっとかわいい名前が良いな。アイリさん(仮)ということにしようか。アイリ~。
(とても不安だ……)
※真面目に解説するので大丈夫です
#001 ある日突然届いた、国民年金のお知らせ
とても暑かった、ある夏の日の夜。
大学の授業の後、バイトを終えたアイリさんは、疲れた体を引きずるようにして家へと帰ります。 将来返さないといけない奨学金で、どうにか学費を支払っている彼女には、友人たちのように街へ遊びに行く余裕などないのです。
先日20歳になったばかりですが、自分へのプレゼントとして、大好きな「現場猫」のスマホケースを買うのが精一杯でした。
そんな彼女は、アパートの集合ポストの中に、「日本年金機構」と書かれた一通の封書が届いているのを見つけました。
薄い鉄板でできた階段を上がって部屋に入り、節約のために一本だけしか取り付けていない蛍光灯を点します。冷房もなくて、扇風機だけです。 昼間の熱気がまだ残る狭い部屋で、彼女は先ほどの封書を開封してみました。
そこには、「国民年金加入のお知らせ」と一緒に、「保険料納付書」が入っていました。その額は何と、1か月16,590円!
ああ、この保険料を払うためには、時給1000円で16時間以上も追加でバイトしなくてはいけないわ! わたしはどうしたらいいの? こうなったらもう、夜の街(のコンビニ)にでも働きに出なくては……。
#002 「学生納付特例」制度を教えてくれた、憧れの先輩
その時、スマホから着信音がしました。画面を見ると、アイリさんが憧れている大学の先輩の名前が表示されていました。
もしもし。あの、アイリです。
先輩
やあ、アイリさん。今日もバイトお疲れ様だったね。明日の夜もバイトなのかな?
※先輩の名前がいささか気になりますが、とりあえず話を進めます。
いえ、明日はシフト入ってないんです。
先輩
そうか。じゃあ、僕と食事でもどうだい?
アイリさんは、答えに困りました。憧れの先輩と食事に行くのはもちろんうれしいのですが、彼女にそんなお金はありません。国民年金を払わなくてはいけません。
先輩ならきっとごちそうしてくれるはずですが、それを当てにして食事に行くわけには行きません。万一おごってくれなかったら、そこでアウトです。そんな命がけのデスゲームに参加することはできないのでした。
そこで彼女は正直に、国民年金の保険料で悩んでいる、と先輩に話しました。
先輩
はは、そんなことなら大丈夫さ。だって君は大学生じゃないか。 大学や専門学校、専修学校などの学生は、「学生納付特例制度」というものを申請することができるんだよ。 所得の条件さえクリアできれば、国民年金の保険料は払わなくて済むのさ。
※とつぜん詳しいことをしゃべり始めましたが、そういうものなので、温かい目で見守ってください。
まあ、本当ですか? でも、わたしはずっとバイトをしているから、所得があるんです。
先輩
ははは、少しくらい所得があっても大丈夫さ。 学生納付特例の条件は、所得が128万円未満であることだ。 バイトの給料には、55万円の給与所得控除があるから、去年の年収が183万円未満ならOKなのさ。
そんな収入はありませんわ。じゃあ、すぐに申請してみます。
先輩
はははは、そうしたまえよ。申請用紙は、納付書と同じ封筒に入っているはずだから、記入して郵送すればいい。 大事なのが、年に1回4月に更新の申請が必要、ということさ。来年の4月までに更新の案内が来るから、忘れずに申請用ハガキを出すようにしなきゃ。 (第17話「年金保険料の学生納付特例申請書の書き方、注意点について」を参照)
(ザックリー博士雑栗先輩ってやっぱり素敵な方だわ……。わたしをお嫁さんにしていただけないかしら……。)
#003 HAPPY END(年金額も減らさずに済みました!)
こうして二人は、駅前のイタリアンレストランでミラノ風ドリアを食べて、楽しくデートをすることができました。
なお、学生納付特例を利用すると、保険料を支払わなかった分、老後の年金受取額も減ってしまいます。ただ、10年以内であれば後から保険料を支払うことも可能なので、働き始めてお金ができたらそれから払うこともできるのです。
やがて放送局に就職してキャスターとなり、憧れの雑栗先輩(外資系の金融機関に就職)と結婚したアイリさんは、支援機構の足元に札束を叩きつけて高額の奨学金を返し、年金保険料も全部支払うことができました。
~HAPPY END~
・年金博士
いや、アイリさんが幸せになって、よかったよかった。
……ていうか、ザツクリ先輩ってなにこれ。 これ全部、博士の妄想というか願望ですよね。
・年金博士
内容的にもわかりやすい、良い話だったと思うぞ。では、また次回。
(聞いてない……)
今回は、「アイリさん」役として「ICON FACTORY」さまのイラストを使わせていただきました。 (https://icon-project.jp/index.html)
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