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老後の年金の2階部分はいつからもらえるの? ~特別支給の老齢厚生年金~

上級編解説

(ライター:hashidate amano

老後の年金は65歳からの受給が基本で、それよりも早く受給しようとすると、年金額が減少してしまいます(繰上げ受給)。
ところが、厚生年金には「特別支給」という制度があり、男性なら1961年4月1日以前生まれ、女性なら1966年4月1日以前生まれの方は、65歳になる前から老後の年金が受給できることになっています。これは繰上げではないので、減額などもありません。

この記事では、いつ生まれた方なら2階部分の年金を65歳前からもらえるのかを、日本年金機構の資料を参考にしながら解説します。
「年金を65歳前にもらうと減っちゃうよね?」と思っている55歳以上の方は、自分が当てはまるかどうか、ぜひ読んでみてください。

厚生年金が60歳からもらえる、そんな時代もあった

ファイヤ君
ファイヤ君
老後の国民年金については、基本は65歳から受給で、早めたり遅らせたりすると額が減ったり増えたりする、ってことが分かりました。
(第45話、46話)
それって、いわゆる年金の1階部分の話ですよね?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
その通りじゃ。老後の国民年金は「老齢基礎年金」と言って、年金制度のベースになる1階部分ということになっておる。
ファイヤ君
ファイヤ君
で、確か2階部分の「厚生年金」は、65歳よりも早めにもらえるって聞いたことがあるんですけど。60歳から受給している人もいるとか。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
そんな時代もあった、ということになるじゃろうな。若い君たちにとっては。
ファイヤ君
ファイヤ君
ということは、もうそんな仕組みはなくなってしまったんですか……。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
いや、生年月日や性別によっては、早くもらえる人もまだいるぞ。男性の場合、1961年(昭和36年)4月1日生まれ(2022年現在では61歳)までなら、64歳からもらえるのじゃ。
まあ、1970年代生まれのわしには、関係のない話じゃがな。
ファイヤ君
ファイヤ君
僕も博士も無理ってことですね……。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
その通りじゃ。つまりわしらは同じ、若い仲間ということじゃな! ヤング同士、一緒にディスコで踊り狂おう!
ファイヤ君
ファイヤ君
(無視)
では、いつも通りの詳しい解説をお願いします。

老齢厚生年金の受給開始年齢について

2階部分だけ早めにもらえる「特別支給」の制度

 日本の年金制度はベースになる基礎年金(国民年金)と、 上乗せとなる厚生年金(かつての共済年金も含む)の2階建てとなっています。
 老齢年金についても、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てで支給されることになります。

 1階も2階も、今の制度では原則65歳からの受給開始となります。でも、以前はそうではなく、2階部分(「報酬比例部分」ともいう)のみは60歳からの受給となっていました。これを「特別支給の老齢厚生年金(特老厚)」といいます。

 複雑なのは、生年月日によってはまだ、この「特別支給」の仕組みが残っているということです。
 つまり現在でも、老後の厚生年金を65歳よりも前に受給できる(繰上げ受給ではないので、減額などはない)場合があるというなのことです。

特別支給を受けられる条件(生年月日と性別)

 老後の厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢は、生年月日(性別も)によって変わってきます。
 年代ごとの受給開始時期については、下の図を見ていただくのが一番わかりやすいかと思います。

 男性なら1953年(昭和28年)4月1日以前生まれ、女性なら1958年(昭和33年)4月1日以前生まれ以前の方なら、60歳から老齢厚生年金(2階部分、「報酬比例部分」ともいう)を受給することができました。
 それ以降に生まれた人については、段階的に受給開始年齢が65歳まで引き上げられることになりましたが、 男性なら1961年(昭和36年)4月1日以前生まれ、女性なら1966年(昭和41年)4月1日以前生まれの人は、65歳になる前から特別支給の老齢厚生年金を受給できます。
 2022年現在で男性なら62歳(一部61歳)以上、女性なら57歳(一部56歳)以上の人が該当しますので、この年代の方が年金を受給し始めるまで、まだ当分はこの仕組みが残るということになるわけです。

 特別支給をいきなり廃止すると影響が大きすぎるので、時間をかけて少しずつ60歳から65歳へと支給開始年齢を引き上げる、ということをしてきたため、このように複雑なことになっています。

特別支給の老齢厚生年金支給開始年齢(日本年金機構資料)
日本年金機構のサイトから引用
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
この壮大な図を見てどう思うかね?
ファイヤ君
ファイヤ君
すごく……階段状です。
てゆうか、これって20年くらいかかって引き上げをやったってことなんですね。壮大すぎるだろ。
この、一番最初のころって、もしかすると1階部分も60歳からもらえたんですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
その通り。以前は1階部分も60歳からもらえていたのじゃよ。と言っても1階部分の全額ではなく、厚生年金に加入していた期間の分だけを早くもらえるという仕組みじゃったんじゃ。
これを「定額部分」というが、実はこの仕組みもまだ部分的に残っておる。続いて、その点を解説しよう。

「長期加入者等」の特例(1階部分も早くもらえる)

現在80歳以上の人(男性の場合)は、60歳から1階部分も受給できた

 博士が少し触れたとおり、2階部分(厚生年金の「報酬比例部分」)を60歳から受給できた時代をさらにさかのぼると、1階部分の一部(「定額部分」と呼ばれる)を65歳になる前から受給できた時もありました。2022年現在で80歳以上(女性なら現在75歳以上)の人なら、1階と2階を両方60歳から受給できたのです。
 1階部分の「一部」というのは、国民年金(第1号・第3号被保険者)に加入していた期間の分までは、早くもらうことができなかったからです。あくまで、厚生年金に加入していた期間に相当する1階部分、ということです。
(例えば厚生年金20年、国民年金20年加入の人がいたら、40分の20=1階部分の2分の1に相当する額を65歳になるからもらえた)

今でも「長期加入者等」は1階部分(定額部分)が早く受給できる

 実はこの制度、今でも部分的に残っています。
 厚生年金に44年以上加入していた人(60歳以上で44年に到達した人も含む)や、障害年金3級程度の障害がある人は、この 「定額部分」がもらえるという特例があるのです。
 これらの条件に当てはまる場合は、2階部分(報酬比例部分)がもらえる年齢になれば、同時に1階部分(定額部分)も受給できることになっています。つまり65歳になる前に、上下2階分の老齢年金がもらえるということになるわけです。
(先ほど説明した通り、あくまで厚生年金に加入していた期間の分のみ。残りは65歳から支給)

 なお、この特例は厚生年金加入中(在職中)には適用されず、退職するまでは2階部分だけを受け取ることになります。
 つまり、年金を受給しながら働く場合は、1階部分がもらえないことがあるので注意が必要です。

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