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配偶者を年金の扶養に入れるには ~第3号被保険者の仕組み~

しっかり解説

(ライター:hashidate amano

年金制度にも、社会保険の健康保険と同じような、扶養の仕組みがあります。
「第3号被保険者」と呼ばれる制度ですが、健康保険とは違って、扶養に入れるのは厚生年金に入っている人の配偶者だけです。
お子さんを扶養に入れるような仕組みはありません(保険料の支払いが難しい場合は免除制度などを利用することになります)。

この第3号被保険者、保険料は不要なのに、国民年金を普通に支払った人と同等の老後の年金がもらえる、非常にお得な制度になっています。

この記事では、第3号被保険者として認定を受けられる条件について、詳しく解説しています。
年齢の条件(20歳から60歳の人が対象)など、健康保険とは大きく違う部分もありますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

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健康保険とは大きく異なる、年金制度の被扶養者

ファイヤ君
ファイヤ君
この前の第26話では、社会保険の健康保険(被用者保険)の扶養の解説をしていただいたわけですが、同じような仕組みは年金制度のほうにもあるわけですよね?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
以前、「真の国民年金」の回でも簡単に説明したが、国民年金には「第3号被保険者」という種別がある。
第1号や第2号に比べるとメジャーじゃから、この名称は耳にしたことがある人もあるじゃろう。
これがつまり、国民年金制度における「被扶養者」じゃな。
ファイヤ君
ファイヤ君
扶養の範囲は、健康保険と同じなんですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
国民年金の制度自体が、基本的に20歳以上60歳未満の人が対象となっておるわけじゃから、当然範囲も違って来る。
それに、そもそも「第3号被保険者」は、配偶者しか対象にならんのじゃ。親が社会保険に加入しているから、その子供が扶養に入れるか、というとそうはいかん。
20歳になったら、自分で国民年金に加入(第1号被保険者)しなければならんのじゃ。
ファイヤ君
ファイヤ君
それで、学生さん向けに保険料の支払いを猶予する制度があるわけですね(学生納付特例制度、第16話参照
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
20歳になったからって、いきなり月16,000円の大金を払うのは困難じゃからな。
若くても、働いておれば払えるじゃろうが、その場合は自分が厚生年金に加入している場合も多いはずじゃ。
ファイヤ君
ファイヤ君
学生じゃなくて、単に無職の場合は支払うしかないんですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
その場合は、普通の免除制度や納付猶予制度が使える。
夫や妻がいて、その人の所得が基準を超える場合は駄目じゃが、そんな恵まれた状況の20歳なら助ける必要はなかろう。
というか、同じ無職として、そんな奴は許せん!
ファイヤ君
ファイヤ君
無職なのも、収入がある三次元の嫁が来ないのも、博士自身の問題だと思うんですけど?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
……無邪気な顔でそんなきついことを平気で言えるってすごいね、君。
ファイヤ君
ファイヤ君
おほめ頂いて光栄です。

第3号被保険者の制度について

 健康保険(被用者保険)とは異なり、同じ扶養の制度でも国民年金のほうは配偶者しか扶養の対象となりません。
 そのため、非常にシンプルな制度になっているように見えますが、こちらはこちらで年金制度の複雑さゆえの、別の複雑さがあります。

 「厚生年金の被保険者に扶養されている配偶者」と言ってしまえば簡単なようなのですが、そこには条件があるわけです。

1 扶養される配偶者側の条件

 博士の解説にあった通り、扶養されている配偶者が20歳以上で60歳未満、というのが一つ目の条件です。
 これは、第1号被保険者、つまり普通に国民年金保険料を支払う加入者の年齢と、範囲を合わせてあるからです。
 第3号被保険者は、保険料がかからないにも関わらず、同じ期間だけ保険料を支払った第1号被保険者と同じ額の年金を受給できる(第1号として40年間保険料を支払った場合と、第3号として40年間加入した場合、受給できる年金額は全く同じ)という制度なので、期間を合わせる必要があるわけです。

 なお、配偶者の収入の条件(年間収入130万円未満など)は健康保険と同等です。
 (第26話の「被扶養者になれる収入の条件」で解説しています)

2 扶養している厚生年金加入者側の条件

 二つ目の条件は扶養している側の条件で、たとえ厚生年金に加入していても、原則として65歳を超えた場合(年金制度では、誕生日の前日で65歳到達となります)は、その配偶者は第3号被保険者から第1号被保険者に変わります
 例えば夫が65歳になったら、その妻はそこから国民年金保険料を支払わなければならなくなるわけです。
 各種免除制度の対象にはなりますが、夫が会社員ということで免除基準を超える収入がある場合は、全額免除はできません。
(65歳で定年退職の場合は、失業特例が使えます。詳しくは第13話へ)

 この、第1号被保険者への切り替えは、基本的に自分で役場などで手続(「国民年金」の加入手続。専門的には第3号から第1号への種別変更届)が必要です。

 なお、厚生年金の加入者が65歳を超えた場合でも、今までの年金の加入歴が短いなどで老齢基礎年金の受給権がない場合は、加入者が70歳になるまではその配偶者も引き続き第3号被保険者となります。
 前記の例だと、夫が受給権ができるまで厚生年金に加入するか、もしくは70歳に達するまでは、妻も第3号のままということです。
 ただし、これは比較的まれなケース(※)で、普通は65歳が上限だと思っていいでしょう。

※ 第3号被保険者の条件は、正確には「第2号被保険者に扶養されている配偶者」となっており、その第2号に該当する条件が、上記の65歳までか、または65歳以上70歳未満で老齢基礎年金の受給権が出来る受給資格期間満了まで、となっているからです。
 現在では、国民年金を支払ったり、免除などを受けた期間と、厚生年金の加入を合わせて10年あれば最低限の受給権は出来るので、このようなケースは減りました。
ファイヤ君
ファイヤ君
なるほど、健康保険に比べると、色々と制限が多いんですね。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
この辺りのことを知らないと、届出が漏れてしまうことになる。
放置していると年金機構から届出をするようにという手紙が来るし、最終的には強制で適用が行われるが、そうなると保険料の請求が遡って一気に来ることになるので、支払いも大変になってしまう。
ファイヤ君
ファイヤ君
そう言えば、第3号被保険者への切り替え手続きのほうは不要なんですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
健康保険のほうで扶養に入る場合、年金の第3号の手続きも同時に会社のほうで手続を出してくれるので、こちらは特に手続きはいらんのじゃ。
この辺りも、細かいことを言い出すと複雑な話もあるんじゃがな。

健康保険の扶養にだけ入れないケースがある?(上級者向け)  

 第26話で、健康保険の被扶養者になるための、収入の基準(年間収入が130万円未満など)について解説しました。
 国民年金の第3号被保険者も全く同じ基準を用いるため、健康保険の扶養に入れれば、第3号被保険者になれる、というのが基本になるわけです。

 ところが、その前回の中でも触れましたが、会社が全国健康保険協会(協会けんぽ)以外の独自の健康保険組合に入っている場合、扶養認定は健保組合によってかなりばらつきがあります。
 独自の規約や解釈によって扶養に入れる、入れないを判断している状況なのです。

 しかし、国が一律で認定している国民年金の扶養については、健保組合独自の解釈などは本来関係ありません。健保組合の権限は、国が管掌する年金業務にまでは及ばないのです。

 つまり理屈の上では、「健康保険は組合独自の判断により扶養にならないが、年金の第3号被保険者にはなれる」という事態があり得る、ということになります(実際に例がある)。
 しかし「第3号だけ」の届出を出してもらうように会社に頼むというのは、なかなか難しいのが実情です。健康保険と年金の扶養届はセット、というのが実務上は普通です。
(不可能なわけではないが、健康保険だけは入れてくれない、となると国民健康保険などに自分で加入して保険料を支払う、ということになる)。

 結局は、権限のない健保組合が、年金の資格を左右するという事態が生じているというのが実情です。
(健保組合に問い合わせると、こちらでは第3号の認定については関知していない、あくまで届け出を行う会社側の問題だ、と回答が返ってきますが)

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