(ライター:hashidate amano)
就職して働き始めた場合、多くの場合は健康保険(被用者保険)と厚生年金がセットになった「社会保険」に加入することになります。
でも、働くことになった事業所(会社など)が社会保険の「適用事業所」になっていなければ、加入することはできません。
「適用事業所」かどうかは、その就職先が法人か、法人でなければどんな業種で従業員がどのくらいいるかによって決まります。
この記事では、その適用条件について解説します。
「うちの職場は適用事業所じゃなかった……」という場合でも、従業員が賛成することで「任意適用」するという仕組みもありますので、ぜひ読んでみてください。
あの「刑事」はパート扱い?
以前の第3話で、会社に入って保険証をもらい、給料から年金と健康保険の保険料を天引きされたら、それが社会保険に入ったということだ、というざっくりした解説がありましたよね? それで、そもそもどんな「会社」に入ったら社会保険があるのか、今回はその辺をお聞きしたいと思うんですけど。
・年金博士
そんな昔のこと、忘れたぜよ。
いやいやいや、そんなすごい昔じゃないですし。 それに、その「ぜよ」ってのはなんですか? 土佐弁もどきみたいですけど。
・年金博士
朝からちょっと、〇華系サイトで昔の名画やドラマの無料動画をずっと見ておったんじゃ。 「ぜよ」は土佐弁というか、「スケバン刑事Ⅱ」の麻宮サキじゃよ。実際には高知ではあまり使われておらんそうじゃ。
生まれる前の作品なので、タイトルくらいしかわかりませんが……。 (それって、違法アップロード動画なんじゃ)
・年金博士
スケバン刑事・麻宮サキが、何の因果か警察の手先として悪と闘う、感動巨編じゃよ。 刑事ということは警察官じゃから、警察共済組合、つまり被用者保険が適用されておるのかも知れん。 勤務日数が少なそうじゃから、パート扱いで適用条件を満たさんかもしれんが……。
ええっ、そういう導入から本題に持って行くつもりなんですか?!
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法人や、5人以上の従業員がいる事業なら、社会保険適用が原則
今回はいわゆる社会保険、つまり被用者保険が適用される「会社」や「事業」がどのようになっているかの解説です。
導入部(茶番)の分かり易い自然なやり取りでお分かりいただけたかと思いますが、会社だけではなく、警察などの官公庁に勤務する公務員も当然、被用者保険の一種である「公務員共済組合」に加入することになります(非正規公務員の場合、民間と同じ「協会けんぽ」への加入となる場合や、非常勤で勤務時間が短い場合は適用除外になることもあり、これも民間と同じです。この辺りも、また解説します)
まずは、社会保険への加入が法的に義務化されている事業等ですが、以下の2通りになります。
(1)従業員のいる法人
株式会社や合同会社など、いわゆる「会社」は社会保険の強制適用事業になります。
従業員を雇っている法人であれば、強制適用という決まりがあるからです。
社団法人なども、その名の通り法人なので適用、先ほど話題が出た警察など官公署も実は法人(例えば県警の場合は「県」が地方公共団体という法人)です。
(「サッチョウ」こと警察庁なら国の機関で、日本国政府を法人と呼ぶかどうかは微妙なようですが、やっぱり警察共済に加入になります。ちなみに、共済組合は一般の健康保険組合とは適用される法令が異なります)。
たとえ社長一人しか社員のいない一人法人でも、法的には加入義務ありです(ただし役員報酬ゼロの場合は除外)。
(2)従業員が常に5人以上いる個人事業(ただし事業内容による)
法人成りしていない個人事業でも、従業員が常に5人以上いる場合は、社会保険強制適用です。
ただし、飲食業、サービス業、農業、漁業などは例外で、適用除外が認められています。なお、2022年10月から、弁護士や司法書士・行政書士、税理士などの「士業」の事業所(もちろん社労士も)は従業員5人以上の場合強制適用となりました。
もっとも、この「従業員が常時5人」の判定が実務上は結構あいまいで、本当は強制適用なのに適用になっていない例がざらにあります。これは法人でさえ同じで、適用漏れだらけだったりしますが。厚生労働省なども、対策に手が回っていない(というか、無理に加入させても社会保険料未納のケースが頻発するので、あまりやる気がなかったという噂も)のが原因のようです。
これら強制適用事業所以外にも「任意適用事業所」というものがあり、従業員の半数以上が賛成した上で事業主が届け出をすることにより、社会保険適用となります(この場合、適用に反対した社員も強制加入となる)。
・年金博士
まあ、この辺りは社員として働く人よりもむしろ、事業主側が知っておくべき知識、ということになるじゃろうな。 社員側としては、求人に「社会保険完備!」などとあるかどうかを見て判断するだけ、というのが普通じゃろう。
「この事業内容なら、うちの店は社会保険適用でなければおかしい!」と主張する社員、というのも少なそうですしね。労働組合でもあれば別でしょうけど……。
・年金博士
社員の要求で適用事業所になったとして、次は適用対象となる従業員の範囲が問題となるじゃろうな。この辺りもまた、近年改正が相次いでいる部分でもある。
じゃあ、次回は適用対象者解説編、ですね?
・年金博士
フッ。そんな先のことは分からない。ボギー、俺も男じゃ!
繰り返しますが、次回は適用対象者解説編です。
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