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インフレが加速すると、どんなことが起きる? ~年金生活者への影響も~

しっかり解説

(ライター:hashidate amano

2022年現在、コロナ禍の影響によるインフレーションが、世界的に大きな問題になっています。各国の政府が抑制のために手を打っていますが、年率10%近くもの高水準になってしまったインフレは、簡単には収まらないでしょう。

日本では、消費者物価自体は2~3%程度ですが、企業物価がやはり10%近いため、いずれ一般市民にも高インフレの影響が出る可能性があります

この記事では、高度のインフレとはどういうものなのかと、その対策について解説しています。
過去の例を見ても、インフレの影響を最も受けるのは、サラリーマンと年金生活者だと言われています。
この先どんな事態になっても対処できるように、ぜひ読んでおいていただきたいと思います。

若い人にはなじみがない(?)インフレーション

ファイヤ君
ファイヤ君
年金の解説でもしばしば登場する「インフレ対策」って言葉がありますよね?
物価が上がる、ってことなのはもちろん分かるんですけど、どうもピンと来ないんですよね。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
君が生まれた頃から現代(2020年代)まで、我が国はずっとデフレで物価はむしろ下がり続けて来たからな。そりゃ実感がないのも無理はない。
ファイヤ君
ファイヤ君
最近(2022年前半)は、世界的には記録的なインフレなんですけど、こちらにはまだそんなに深刻な影響出てないですからね。不思議なんですけど。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
わしに買える唯一のお菓子である「うま〇い棒」が値上がりしたのは、深刻な事態じゃと思うが……。
輸入に頼っている原材料やエネルギーは上がっておるから、国内の物価ももっと上がるのが普通なのじゃがな。
企業は影響を食らっているが、その分売値を上げれば商品が売れなくなる、ということで悩んでいるようじゃ。
ファイヤ君
ファイヤ君
ガソリンはすごく値上がりしてるんですけどね。給油の度にため息が出ますよ。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
君、車なんか持ってるのかね?! リア充か?!
ファイヤ君
ファイヤ君
そんな大げさな。普通のコンパクトSUVですよ。それに、「リア充」ってもう使いませんよ。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
え、SUV……。
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Bitly
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
これを見給え。死語かどうかは問題ではない。こんなカッコいいものに乗るのはリア充じゃ。
昔はこういうのはRVと言ってな、ギャルを乗せて「Choo Choo Train」聞きながら栂池高原にスキーに……。
ファイヤ君
ファイヤ君
(もう無視)
で、ひどいインフレになると、どんなことが起きるんですか?
年金はインフレに連動するから大丈夫、とも聞きますけど……。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
解説はするが、若いころに遊びすぎるとわしのように老後のお金に悩むことになる、ということは覚えておきたまえ。

物価100倍でも1兆倍でも大差ない?

 そもそも物価というのは上がるのが普通で、世界的にはインフレ状態がスタンダードです。我が国のように、こんなに長期間物価が上がらないのはまれなことです。
 経済が成長していると、物の値段も給料もどちらも上がって行くものだからです。つまり緩やかなインフレというのは決して悪いことではありません。

 問題は、何か他の原因で、急激に物価が上がる状態です。
 その極限の状態が「ハイパーインフレ」と呼ばれるもので、定義は色々ありますが、「毎月物価が1.5倍になる」というのがポピュラーな目安として用いられています。

「ハイパーインフレ」はそれほどレアな現象ではなく、世界各地の各国で頻繁に起きていますし、我が国においても第二次世界大戦直後に、物価が3年半で70倍に上昇するハイパー・インフレが起きています。

 近年では、アフリカのジンバブエの事例が有名です。
通貨(ジンバブエ・ドル)を大量に発行して政府の支出をまかなうなどした結果、通貨の価値が暴落してしまい、最終的にはまさに天文学的な物価の上昇を記録しました。
(Wikipediaによると年率6,500,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000%だとか)

 1日で物価が倍になる状況で、こうなっては打つ手はありません。「100兆ジンバブエドル紙幣」の札束何個かでパンを買う、みたいな世界になってしまい、最終的にはジンバブエ・ドルは廃止となりました。
 代わりに、米ドルなどの主要通貨(ハード・カレンシーという)を中心に国内の通貨として用いることで、正常化を図りました。あまり知られてませんが、この時には日本円も法定通貨とされています。

 よく、ハイパー・インフレは戦時にしか起きないという主張を聞きますが、ジンバブエは戦争をしたわけではありません。
 政治家がいい加減な政策を取って通貨価値をないがしろにすると、いつでも生じ得る事態です(ジンバブエの場合、経済政策の失敗による物資の供給不足が同時に起きて、これも原因となりました)。

ファイヤ君
ファイヤ君
ジンバブエの例は有名ですね。
でもさすがにそんな6.5(略)000%の物価上昇なんて、我が国ではあり得ないでしょうね。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
わしもそう思う。実際、戦後のハイパー・インフレも70倍から100倍程度のものじゃったしな。
しかし、100倍と1兆倍では、失う資産に実はそんなに差はないんじゃよ。
ファイヤ君
ファイヤ君
え? 全然違うじゃないですか。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
例えば、リア充ファイヤ君が100万円という途方もない大金を貯金していたとするぞ。
ファイヤ君
ファイヤ君
(SUVなんていうんじゃなかった……)
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
 物価が100倍になったら、その100万円はたった1万円の価値しかなくなる。いわば、99万円失ったわけじゃ。
 これが1兆倍になると、まあほぼ価値はゼロになる。1円未満になるわけじゃからな。
 とすると、失ったのは100万円。実は、その差は1万円しかないわけじゃ。
ファイヤ君
ファイヤ君
なるほど……。例え10倍で済んでも、100万円が10万円になって90万円失うわけですから、ほぼ破滅ですね……。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
その通り。ただ、ある程度時間をかけて物価が上がってくれれば、例え10倍でも100倍でも対処のやりようはある。

つまり問題は、上昇の速度というわけじゃ。物価が2倍になるだけでも、一か月でそんなに上がったらお手上げじゃ。

インフレへの対処法、自国通貨以外でヘッジを

 インフレとはつまり、貨幣価値が下落して、モノの価値が上がる現象です。
 従って、早めにモノに変えたほうがいいいわけですが、みんなが一斉にそれをやり始めたら、あっという間に商品は枯渇します。
 大量に生産されているはずのトイレットペーパーが、コロナ時のデマで全く手に入らなくなった、そのような事態が大規模に起きてしまいます。
 そしてさらに物価が上がるという、悪循環が発生します。壊滅的なインフレを、集団心理が引き起こすこともあるわけです、

 貨幣価値の下落に対しては、打つ手はあります。
 分かりやすいのは、自国通貨以外の有力な主要通貨を分散保有しておくことです。ジンバブエでも、自国通貨が廃止されるずっと前に、みんな米ドルを使うようになっていました。
 金やプラチナなど、歴史的に通貨として用いられてきた貴金属の保有も、それに準じた効果があるでしょう。

 また、通貨よりは、企業という実体の裏付けがある株式などを保有しておくほうがまだ安全です。世界中の株式を分散して保有しておくと対策になります。
 いずれの対策も、値下がりで損をする可能性も高いので、実際には踏み出せない人も多いでしょう。
 外貨については、海外旅行の準備として持っておく、くらいのスタンスが良いかと思います。

 通常は、ハイパー化までしないインフレであれば、1年ものの定期預金である程度対処できます。インフレ時には、金利も上昇するためです。投資が苦手な人も、これなら抵抗感はないでしょう。

 しかし我が国の場合は、政府・日銀が絶対に金利を上げないということに全力を挙げている(理由については今回は説明しませんが)ため、これは当てになりそうにありません。

ファイヤ君
ファイヤ君
これってつまり、インフレの加速を早めに察知して手を打った人が生き残るってことですよね。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
経済危機への対応全般に言えるが、災害対策と同じようなもので、普段からある程度の対策をしておくのが有効じゃな。
ファイヤ君
ファイヤ君
それで、肝心の年金制度は、インフレが起きても大丈夫なわけですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
これが難しいところでな……。
詳細は次回に説明するが、公的年金にはある程度インフレに対処する機能がある。
ただ、これは物価上昇に完全連動するのではなく、受給額の上昇を物価上昇よりも抑制するという仕組みじゃ。
つまりインフレが起きれば、年金額は実質目減りすることになる。
ファイヤ君
ファイヤ君
それで国も老後2000万とか言い出しかけたのか……。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
こちらも改めて解説の予定じゃが、「IDECO」「NISA」も狙いは同じ、自助努力してくれたら税金優遇、ということじゃよ。

インフレ時に最も影響を受けるのはサラリーマン?

 ジンバブエのハイパー・インフレの際に最も困窮したのは、サラリーマン、特に公務員だったようです。
 物価が上がっても給料はすぐには上げられないし、まして公務員の給与だけ上げたりしたら国民が許すわけがありません。
 そもそもが、公務員の給与を上げる財源を作るために、ジンバブエ・ドルを大量発行したのがインフレの原因の一つなので、なおさらそんなことはできません。
 実質タダ働きになったわけで、かなりの数の公務員が離職して、隣国に移って働いたりしたようです。

 我が国の場合は、高齢者への影響は避けられないでしょう。
 博士が解説した通り、年金はインフレには完全に連動しないのですが、そもそも年金額の改定は年度ごとにしか行われないし、支給も2カ月に1回の後払いなので、インフレが加速したらすぐには追いつきません。
(さすがに、年度途中での額改定などを緊急で行うとは思いますが、それでも追いつかないでしょう)

 また、貯金を取り崩して生活するにしても、その貯金自体が価値を失っていくので、ダブルパンチです。多少なりとも連動する年金のほうが、まだましかも知れません。
 その点から、資産運用の一環と考えて年金保険料をしっかり払っておく、というのはリスク分散として有効でしょう。

 物価が上がれば家賃が上がる可能性もあるので、持ち家は有利だと思います。結局「モノ」を持っているのが強いわけです。
 ただし、これから家を買う人は、変動金利のローン100%で購入するのはおすすめできません。インフレが加速する中で、国が金利上昇を抑制できなくなれば、ローンの金利が急騰して払えなくなる可能性があります。
 固定金利に切り替えようにも、固定金利のほうが変動金利より先に上がり出す傾向がある(国による抑制がより難しい)ので、慌てた時には間に合わないかも知れないという点に注意が必要です。

 インフレに強いのが、日銭で暮らしている商人などで、実際ジンバブエでも副業で商売を始めた人が多かったようです。プリペイド携帯のカードを売ったりするのが流行ったとか。

(参考:「ハイパーインフレの人類学」)

Bitly
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