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治療用の装具を作ると、健康保険からお金が帰って来る? ~療養費の仕組み①~

ざっくり簡単解説

(ライター:hashidate amano

骨折や捻挫などの場合に、コルセットやサポーターなどを体につけて治療をすることがあります。
このような治療用の器具を「治療用装具」と言います。

装具には色々な種類がありますが、中には高価なものもあるので、購入時には結構な出費になってしまうこともあります。
でも、お医者さんからの指示で装具を付けることになった場合は、加入する健康保険に申請すれば、代金の7割分(年齢などによっては8割や9割分)が「療養費」としてちゃんと返って来ます。

この記事では「治療用装具」を作った場合の「療養費」の仕組みと、その申請方法について解説します。
「コルセットで何万円もかかっちゃった……」という方も、申請すれば3割負担に当たる額で済むこともあるので、ぜひ読んでみてください。

骨折して装具を買うと、実費負担になるが

ファイヤ君
ファイヤ君
旅行先での急病とか怪我とかって、色々大変ですよね。
会社の後輩の女性なんか、スキー場で転倒して骨折しちゃったんですよ。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
何と、それは気の毒な……。その後輩は、保険証は持っていたのかね?
ファイヤ君
ファイヤ君
彼女は、ちゃんと保険証持参だったそうです。マイナンバーカードまで持って行ったそうなんですが、そちらは病院が対応してなかったとか。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
しっかりした後輩じゃな。
それなら自由診療になることもないし、もし3割負担が高額になれば、後から高額療養費として支給を受けることも出来る。
ファイヤ君
ファイヤ君
確かに自由診療にはならなかったんですが、骨折した場所の固定用に「ブレース」というのを作ったみたいで、それは実費負担になったらしいんです。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
治療用の「下肢装具」じゃな。確かに、装具は専門の業者から実費で買うことになる。ただ恐らく、「意見書」というものを医者からもらっておると思うが?
ファイヤ君
ファイヤ君
ああ、病院で何か証明書みたいなものもらったとか言ってました。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
ならば、健康保険に申請すれば、購入費用の7割分が戻って来るはずじゃ。今回は、その辺について解説するとしようか。そして、彼女に伝えてくれ給え。博士に全部教えてもらった、とな。
ファイヤ君
ファイヤ君
分かりましたよ、後輩も助かる話ですから。
(毎度ながら、博士のこの自己アピールはすごいな……)

医師の指示で作った「治療用装具」には健康保険が適用される

いったんは全額自費負担で購入する

 怪我をしたり、関節や骨の変形があった場合などに、主治医の指示で「治療用装具」というものが作製される場合があります。
 その種類は大変多く、いわゆる「コルセット」や「サポーター」、「ブレース」など、治療個所や症状に合わせて、さまざまな治療用装具が存在します。
 パーツを組み合わせて作るようなものもあることから、その種類はまさに無数と言っても良いでしょう。

 このような装具は、専門家である「義肢装具士」が所属する装具会社などが作製することになります。
 装具会社は医療機関ではないため、3割負担(これは年齢等によって変わります)で済むというわけにはいかず、一旦は装具の代金を全額支払うことになります。

健康保険に申請すれば、代金の一部が返金される(申請に必要なものとは)

 でも、医師が作製を指示する「意見書」を発行してもらった上で装具を購入した場合は、健康保険に申請することによって、その代金の7割分などを「療養費」として支払ってもらうことが出来ます。
 実質的には、3割負担などに当たる額の出費で済むというわけです。

 なお、治療用装具の代金は、その種類に応じて基準表が作られています(一冊の本くらいのボリュームがある膨大なもの)。
 装具業者はその基準表に合わせて支払い金額を決めるため、基本的には支払った額がそのまま10割負担額として認められることになり、その7割分などがそのまま戻ってくるわけです。

 申請に必要なのは、「意見書」「装着証明書」(この二つをあわせて一枚の書類になっていることが多い)、装具の代金を支払った領収書、どんな装具を作ったのかの明細書(領収書と一緒になっていることもあります)です。
 国民健康保険の場合は、保険証と療養費を振り込んでもらう口座番号などの確認できる通帳やキャッシュカードも持って行きましょう。

※ 理屈の上では、作製した装具が症状に適合しないと健康保険の保険者(市区町村や健保組合など)が判断すれば額の査定も可能と思われますが、そのようなケースは少ないでしょう。
 装着後の状態を、医師が確認することにもなっています。

ファイヤ君
ファイヤ君
なるほど、なかなか複雑な仕組みなんですね。でも、要するには費用の半分以上が戻ってくるってことですよね。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
その通りじゃ。立替払いを不要にする制度改正も検討されておるし、実際に実施していた健康保険もあったようじゃが、不正請求事件などが発生したこともあって、現在では厚労省が禁止しておるようじゃ。
ファイヤ君
ファイヤ君
不正請求って、どんな事件があったんですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
足の変形をなおす、オーダーメイドの「靴型装具」というのがあるのじゃが、ただの靴に中敷きを入れただけのものを売っていた業者があったんじゃ。
それ以降、靴型装具の療養費を申請するときは、靴の写真を添付して申請することになったのじゃよ。
ファイヤ君
ファイヤ君
へえ、そんな装具もあるんですね。それじゃ、何年も使われる装具もあったりするんですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
治療に年数がかかる場合もあるからな。
場合によっては、古くなった装具を作り直したりする場合もあるが、装具には「何年使えるか」という耐用年数というものも決められておるのじゃ。

短期間で治療用装具を作りなおすと、保険が効かない?

 治療用装具には、種類に応じて「耐用年数」という期間が定められています。
 その年数までは装具の治療効果は有効なはず、という標準的な期間で、先ほど出てきた「靴型装具」なら耐用年数は1年半となっています。

 耐用年数が終わる前に新しい装具(全く同じもの)を作った場合、健康保険の適用はされず、全額自費負担となります。
 破損した場合などは、修理で対応するのが原則です(医師の指示で正しく修理した場合、その費用にも保険が適用されます。額については「修理基準」というもので決まっています)。

 ただ、その間に症状が変化したなどで、前の装具では治療効果がなくなったという医師の診断があった場合は、耐用年数内に新しいものを作っても、例外的に保険適用が認められることもあります。

 なお、18歳未満のお子さんについては例外があり、耐用年数ではなく「使用年数」という別の基準を使います(耐用年数よりも短い期間になっている)。
 これは、子供の場合は成長によって装具のサイズがすぐに合わなくなってしまうからです。

ファイヤ君
ファイヤ君
本当に細かく決まりがあるんですね。
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
薬などと同じで、いい加減な装具を使えば、症状を悪化させてしまうことになるからな。
ちなみに、治療の効果がなくなって、いわゆる障害状態になった場合にも装具は使われるが、こちらには保険は使えない。その代わりに、障害者支援の制度のほうで費用が補助されることがある。

眼鏡やストッキングに保険が効く場合がある?

 治療用装具には非常に多くの種類があるということは解説した通りですが、「眼鏡」や「ストッキング」が装具として扱われる場合もあります。

「眼鏡」については、9歳未満のお子さんが弱視を治療するための矯正用に限って、療養費が支給されます。眼鏡屋さんの領収書以外に、医師の作成指示書が必要になります。

「ストッキング」のほうは、患部を締め付ける弾力のある、「弾性ストッキング」が保険適用となります。ただし、適用される病名が決まっていて、悪性腫瘍を手術した後の「リンパ浮腫」や慢性の静脈不全による難治性潰瘍に限られます。

「弾性ストッキング」以外にも、弾性スリーブやグローブ、弾性包帯なども同様の扱いとなります。

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