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2023年度の国民年金・厚生年金は物価上昇に勝てるのか? ~結論・負けている~

ざっくり簡単解説

(ライター:hashidate amano

2023年度の公的年金額が、国から発表されています。
実際には6月15日の支給分から適用される、今年度の年金額(6月に振り込まれるのは4月と5月分の年金)。
物価がどんどん上昇する中で、果たしてどれくらいの増額になったのでしょうか。

結論から言うと、増額されても物価上昇には追い付いていないわけですが、この記事ではその辺りの仕組みも含めて解説して行きます。

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実質1%くらいの目減りになる?

ファイヤ君
ファイヤ君
去年(2022年)くらいから、日本でもインフレが進んで物価が上がってますよね?
年金の額は物価に合わせて上がるってことなんですけど、今年の年金額はどうなるんですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
2023年の6月15日に支給される年金からは新年度の額ということで値上げにはなるんじゃが、現在の物価上昇率(3.1%、2023年3月時点)には追い付いておらんというのが結論じゃ。
ファイヤ君
ファイヤ君
じゃあ、実質目減りしてるってことですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
67歳以下は2.2%値上げ、68歳以上は1.9%値上げということじゃから、去年からの物価の上がり方を考えると残念ながら目減りと考えてよいじゃろうな。
物価が3%以上上がったのに、年金は2%前後しか上がっておらんのじゃからな。
ファイヤ君
ファイヤ君
1%くらいの目減りって思って良さそうですね。
ぼくらの給料も物価ほど上がってないし、厳しい状況になっちゃいましたねえ……。

毎年の年金額は物価とどのように連動する?

公的年金額の改定の基本的な考え方

 年金額改定の基本的な考え方は、
・67歳以下(年金をもらい始めて間がない人)は賃金の変動に合わせる
・68歳以上は物価の変動に合わせるが、賃金が物価ほど上がっていない場合(または物価よりも賃金が下がっている場合)は賃金に合わせる。
 
 というものです。
 特に68歳以上は、物価と賃金の増減額のうち、より不利なほうに合わせて年金額を決めるという感じですね。
 そのため、結局物価の上昇には追い付きにくい仕組みになっているのです。

物価と賃金の増減率とは?

 改定時に使う物価は前年の変動率です。
 つまり、今年(2023年)の年金額の決定に使われている「物価」というのは、去年の時点の数字(2021年から2022年までの間の上昇率)を使っているわけです。

 今回使われた物価上昇率の数字は2.5%となっています。
 一昨年から去年にかけて、これだけ物価が上がったわけですね。

 一方、賃金上昇率のほうはざっくり言えば過去3年間の変動率の平均を使います。
 今回使われた数字は2.8%です。

※ 今回詳しくは触れませんが、賃金が2.8%上がっていると言っても物価も2.5%上がっているので、実質は0.3%しか賃金は上がっていないという計算です。
(2.8%は2019年度から2021年度までの平均実質値を物価上昇率で調整した名目値) 

年金額改定の基本ルールに当てはめると

 今回で言えば、物価よりも賃金のほうが上がっていることになります。単純にルールに当てはめると、
・67歳以下は賃金に合わせるので2.8%増額
・68歳以上は物価に合わせるので2.5%増額
 となります。

 これなら、物価に完全に追いついていないにしても、まあまあな数字と言えないことはないでしょう。
 ところが、実際はこの数字よりも増額率は0.6%低くなっています。
 これが、次の項目で説明する「マクロ経済スライド」というものです。


※基本ルールで言えば、今年は下の図で①に当たる。
新裁(67歳以下)は賃金に合わせて増額、既裁(68歳以上)は物価に合わせて増額。

(2023年1月20日の厚生労働省プレスリリースから引用)

ツケが回ってくる「マクロ経済スライド」

全然嬉しくない「キャリーオーバー」

 本来は物価や賃金に合わせて年金が上がる場合でも、「平均余命などの色んな統計数値をぶち込んで計算することで、額の上昇をどれくらい抑えるかを決める」という仕組みがあります。
 これを「マクロ経済スライド」といいます。

 この「マクロ経済スライド」は、年金額が下がる場合には使われません。あくまで上がる場合だけです。
 ただし、「マクロ経済スライド」によるマイナス額はツケとしてキープされていて、年金額が上がることになった場合、そのツケが回ってくるという仕組み(キャリーオーバー)になっています。

2023年度の「マクロ経済スライド」はマイナス0.6%

 実際の2023年度の「マクロ経済スライド」によるマイナス幅は0.6%です。
 そのうち、ツケとして溜まっていた2021年度と2022年度のマイナス分が0.3%となっています。
 2年前の年金額が下がらなかった分を、今回の年金額を下げて調整する仕組みになっているわけです。

 そういうわけで、
 ・67歳以下は賃金に合わせるので2.8%増額、ただしマクロ経済スライドが-0.6%で計2.2%増額
 ・68歳以上は物価に合わせるので2.5%増額、ただしマクロ経済スライドが-0.6%で計1.9%増額
 
 と、物価上昇よりも低い年金額の増額となってしまいました。

ファイヤ君
ファイヤ君
ものすごく評判の悪い「マクロ経済スライド」ですけど、何のためにこんなややこしいことをやってるんですか?
ザックリー<br>・年金博士
ザックリー
・年金博士
国の説明では、年金額を抑えて現役世代の負担を抑えるためということじゃ。
ただし、このペースでは現役世代が受給することになる時は年金額の目減りは進んでいる可能性も高いわけじゃから、資産運用などの自助努力は避けられんじゃろうな。

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